ジャズヴァイオリニスト牧山純子さんの著書。
「ジャズとエロス」とはスゴイ、タイトルですね(^^;)
クラッシク出身の著者が自身の経歴、ジャズとクラッシクの比較、ジャズとエロスの関連性、エロスという観点からのおすすめジャズナンバーなど興味深い内容です(^^)
あらすじ(内容紹介)
美しきジャズヴァイオリニスト、牧山純子の新境地。「官能的なエロス、芸術的なエロス、生命力溢れるエロス……そう考えると、ジャズのなかにはいろいろなエロスがあることを、改めて知ることができました。この思いを、音楽ではなく、活字で表現する……私の新たなる挑戦です」と語る著者。そこで、弓を筆に持ち替え、「ジャズとエロス」をテーマに、スタンダードからオリジナルまで、ジャズの魅力を文字で奏でる。クラシック出身という自らの音楽歴を振り返りつつ、改めて音楽の本質に迫り、ジャズの旋律からエロスの神秘&謎まで紐解く。また、俳優やコメンテーターとしてマルチに活躍する松尾貴史氏との対談では、「日常とエロス」について、男目線&女目線で意見を交わす。さらに、本書に登場する楽曲の一部は、ストリーミング試聴することも可能。読んで納得、聴いてさらに理解を深められる“至極のジャズ論”の誕生だ。世界的指揮者・小澤征爾氏推薦!!
(Amazonより引用)
著者の牧山さん自身も本書を執筆する以前は「ジャズにエロスを意識したことがなかった」らしい(^^;)
タイトル通りジャズにエロスを感じる場面を考察する内容になってますが、エロスという意味に幅広い解釈を持たせているため、(生きる力、生きる喜び的な)あながち官能的なイメージで語られている訳でなく、文面もきわめて真面目です。
ジャズとエロスに関する考察は人それぞれ感じることが違うので・・・。
賛否が分かれるところがあると思いますが、その他の内容として「クラッシクとジャズの違い」を両方を学んだことのある著者ならでは視点で説き、それぞれの「音楽の本質」や「歴史」などの対比をわかりやすくまとめらていて興味深い内容でした。
エロスを感じさせるという観点からのおすすめナンバーも変わった切り口です(^^;)
牧山さん本人の演奏に限定されますが、QRコードでおすすめされた演奏にリンクしているのは良いですね。
紹介されている曲はド定番のスタンダード曲ばかりではありませんが、新たな切り口のジャズ入門書としては良いかも知れません。
※以下、ネタバレを含みます。
牧山純子さんって?
この方です。
1974年、東京生まれ。4歳の頃からヴァイオリンを始め、大学に入るまではずっとクラッシクを演奏されていたとのこと。
大学時代からジャズを意識しはじめ、本格的にジャズを勉強しはじめたのはアメリカのバークリー大学に入学後。
2008年にメジャーデビュー後、現在に至るまでプロのジャズミュージシャンとしてご活躍されています。
都内のジャズバーでもジャズライブをしており、私は3,4年前になりますが、池袋の某ジャズバーで一度、生演奏を聴いたことがあります。
ジャズにエロスを感じるかは別にして、牧山さん自身の演奏は確かに気品があり、官能的でもあり・・・。
エロスを感じるといえば感じるか(^^;)
そんな牧山さんだから本書の執筆に白羽の矢が立ったのでしょう。
本書の簡単な内容と感想
第1章 私とジャズ
「なぜジャズヴァイオリニストになったのか」という牧山さんの経歴の章です。
本題の入る前に著者のことを知ってもらうためですね。
ずっとクラッシク畑の牧山さんがジャズに転向した理由、ジャズを勉強し始めた頃の苦労話、アメリカ留学時代の大物ミュージシャン達との交流などが読みどころでしょうか。
第2章 ジャズとクラシック
クラッシクとジャズを両方、学んできた牧山さんならではの視点でジャズとクラッシクの比較やそれぞれの歴史などが簡潔にまとめられています。
以前、ジャズ本の紹介記事を書きましたが・・・。
ジャズって何? ジャズを知るならこの本で!【初心者におすすめしたい面白いジャズ本5選】
本書『ジャズとエロス』もジャズについての雑学を知るには良い本だと思います。
クラッシクとの対比でも説明されてるので興味深い内容でした。
この章がこの本で一番参考になったかな~
第3章 エロスとジャズ
ここから本題なのでしょうか。
「エロスって何?」からはじまり、「ジャズってエロいの?」「エロスを感じる音域」「おすすめのジャズナンバーでエロスを紐解く」など・・・。
極めて真面目に『ジャズとエロス』について分析されてますね(^^;)
内容については賛否両論だと思います。
私自身は「エロス=官能的」とするならば、音楽自体にそのような要素があると感じますがジャズという音楽自体に特別、エロスを感じないかな(^^;)
結局、演奏するミュージシャン次第でしょうか!?
第4章 日常とエロス
松尾貴史さんとの対談形式でエロスを色んな角度から考察していきます(^^;)
「焦らしのエロス」「駆け引きのエロス」「生と死のエロス」等・・・。
特に心に残る章じゃなかったな~(^^;)
第5章 エロスと名曲
「牧山流ジャズ・セレクション135」のコーナー。
「恋とエロス」「孤独とエロス」などシチュエーションに分けてジャズの名曲が紹介されています。
なかなか、ない切り口ですね(^^;)
だたエロスというのを単純に性的な「エロい」と解釈している訳でなく、広義に解釈しているので選曲の良し悪しは何とも言えないです。
まぁ~「孤独とエロス」といっても「自分自身に酔いたい夜に」「昨晩の記憶をたどる朝に」などさらにいくつかのシチュエーションに分かれます。
その細分化されたシチュエーションを見たら、何となく選曲の意図も理解できるような(^^;)
まとめ
私はジャズヴァイオリニストとして活躍しているなかで、もっと多くの人、もっと若い人たちにもジャズを楽しんでほしいと常日頃から思ってます。CDでもかまいませんが、できれば生のジャズに触れていただきたいのです。
(本書より抜粋)
一人でも多くの方にジャズに触れてほしい、楽しんでほしい、そういう思いで本書を執筆いたしました。
(本書より抜粋)
「はじめに」にこのように書かれています。
本書の内容や牧山さんの経歴の章を読んだ限りの見解ですが、とても真面目で誠実な人柄とお見受けしました。
純粋にジャズを広める活動の一環として本書を執筆されたのでしょう。
きっと編集者の意向で『ジャズとエロス』というちょっとイロもののようなタイトルになってますが・・・。(無理にエロスというテーマは要らなかった気がする)
「エロス」というテーマを牧山さんなりに真摯に向き合って執筆されたと感じ、好印象を持ちました。
ジャズに少しでも興味があり、上で紹介した牧山さんの動画を観て・・・。
「牧山さんのことがもっと知りたい」と思った方は買いの本です(^^)
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