ジャズ史上において女性三代ボーカリストの1人、サラ・ヴォーンを名盤とともにご紹介します。
1940年代のビ・バップの初期の頃から活躍するジャズシンガー。
1980年代まで活躍した、まさにモダンジャズシンガーに女王と呼ぶに相応しいミュージシャンです。
サラ・ヴォーンの主な経歴
出生名:Sarah Lois Vaughan
生誕:1924年3月27日
出身地: アメリカ合衆国
担当楽器:ヴォーカル
西暦 | 内容 |
1924年 | アメリカ合衆国ニュージャージー州ニューアークで生まれる |
1942年 | アポロ・シアターのアマチュア・ナイトで優勝。 |
1954年 | ポピュラー路線、ジャズ路線の両方で多くの名盤を録音するなど全盛期を迎える。 1966年まで継続的にレコード契約を結んでいた。 |
1967年 | レコード契約のない不遇の時期を過ごす。 しかしながらライブ活動は精力的に行い、死後にこの頃のライブ録音が発表される。 |
1977年 | ノーマン・グランツの誘いでパブロ・レコードに在籍する。 円熟味の増したボーカルで再び脚光を浴び、1982年には第25回グラミー賞で最優秀女性ジャズ・ボーカル・パフォーマンス賞を獲得 |
1990年 | 肺がんのため66歳で死去。 |
サラ・ヴォーンの紹介
サラ・ヴォーンはビバップの初期から活躍するジャズシンガー。
ジャズ史上、女性三代ボーカリストの1人に数えられます。
3オクターブ以上と言われる広い音域と豊かな音色で聴衆を魅了しました。
サラ・ヴォーンは1924年生まれ。
十代でアポロ・シアターのアマチュア・ナイトに優勝したことをきっかけに本格的にジャズシンガーとして活動します。
当時からボーカルとして非凡な才能を発揮していたサラ・ヴォーンですが、アール・ハインツ楽団ではセカンドピアニストも兼任してました。
実はサラ・ヴォーン、ピアノも相当上手かったようです。
1944年にビリー・エクスタイン楽団に参加。
ここではチャーリー・パーカー、デイジー・ガレスピー、アート・ブレイキーなどモダンジャズの核となったミュージシャンたちと共演しました。
まさにモダンジャズシンガーの女王ですね。
1947年に「It’s Magic」が大ヒット。
1950年代に入ってもクリフォードブラウンとの共演などジャズ、ポップスの双方で数々の名盤を残します。
1960年代後半には当時の大スター、ビートルズの曲もカバーしてます。
しかしその後はレコード会社と契約できない不遇の時期を数年間にわたり味わいます。
この頃、すでにキャリア20年以上のベテランのサラ・ヴォーンですが…。
サラ・ヴォーンほどのシンガーでもずっと活躍し続けるのは難しいのですね〜。
サラ・ヴォーンはレコードを出せなくても精力的にライブ活動を行っており、死後に当時のライブ録音がリリースされ、名盤として残ってます。
実力は衰えていなかった証拠ですね!
1970年代後半。
サラ・ヴォーンに再び脚光を浴びるチャンスがやってきます。
1977年、ノーマン・グランツに誘われて彼の運営するパブロ・レコードと契約をします。
円熟味を増したボーカルで再び、名盤を量産することに。
1982年には第25回グラミー賞で最優秀女性ジャズ・ボーカル・パフォーマンス賞を獲得します。
晩年はアルバムを出す機会はなくなったものの1990年に肺がんで亡くなるまで精力的にライブ活動を行いました。
サラ・ヴォーンのおすすめ名盤①
ラヴァーズ・コンチェルト ~ポップス・オン・サラ・ヴォーン
スタンダードナンバーを取り上げた名盤です。
『スター・ダスト』『いそしぎ』『オールド・オブ・ミー』『イパネマの娘』などジャズの定番曲がズラリと収録されています。
サラ・ヴォーンの深みのあるヴォーカルをスタンダードナンバーで堪能できるのでおすすめです。
アルバムタイトルにもなっている『ラヴァーズ・コンチェルト』は三菱自動車工業のシャリオグランディスのコマーシャルやドラマ『不機嫌なジーン』でも使用されたので聴いたことのある方も多いと思います。
サラ・ヴォーンのおすすめ名盤②
サラ・ヴォーン・ウィズ・クリフォード・ブラウン+1
モダンジャズシンガーの女王と天才トランぺッターの共演です!
1954年の録音なのでサラ・ヴォーンのキャリアからすると初期のアルバムとなります。
サラ・ヴォーンの深みのあるハスキーボイスとクリフォード・ブラウンの歌心溢れるソロが相性抜群です。
『バードランドの子守唄』は是非、聴いていただきたいですね!
共演のトランぺッター、クリフォード・ブラウンはジャズ史上に名を残す、天才トランぺッターですが本アルバムを録音した2年後の1956年に不慮の交通事故を命を落とします…。
クリフォード・ブラウンの詳細記事もありますので合わせてご覧ください。
サラ・ヴォーンのおすすめ名盤③
枯葉(サラ・ヴォーン)
1982年に発売された名盤。
時期的にはすでに大ベテランの域に達した頃のアルバムですね。
本アルバムでは超絶技巧のギタリスト、ジョー・パスと共演しています。
サラ・ヴォーンの円熟味の増したヴォーカルと合わせ、ジョー・パスのギターも聴きどころです。
ジョー・パスの詳細記事もありますので合わせてご覧ください。
おすすめ曲は『枯葉』。
スキャットで歌いきる『枯葉』は圧巻です!
サラ・ヴォーンのおすすめ名盤④
I Love Brazil!
1977年、サラ・ヴォーン自らブラジルを訪問し、ボサノバの第一人者、アントニオ・カルロス・ジョビンらと共演した名盤。
涼やかなブラジル音楽にサラ・ヴォーンの奥行きのある歌唱力のコントラストが絶品の1枚です。
『I Live To Love You』が素敵なバラードでおすすめです。
サラ・ヴォーンのおすすめ名盤⑤
Live at Rosy’s
サラ・ヴォーンが1978年、ニューオリンズのジャズ・クラブ『Rosy’s』で行ったライブを録音したアルバム。
やはりライブ盤は臨場感がありますね!
ちょうどノーマン・グランツに誘われて彼の運営するパブロ・レコードと契約しノリにノッている時期のサラ・ヴォーンのなので尚更、迫力があります!!
『I’ll Remember April』『My Funny Valentine』など定番の曲も収録されており、聴きやすいと思います。
まとめ
ジャズヴォーカルのアルバムはジャズのスタンダード曲を知るには最適です。
ジャズ史上、最高峰の評価を得ているサラ・ヴォーンの名盤は鉄板です!
これからジャズの曲を色々、知りたい方には特におすすめできます。
- リー・モーガンおすすめ名盤5選【ジャズ史上、屈指の天才トランぺッター】
- ソニー・ロリンズおすすめ名盤5選【ジャズテナーサックスの最高峰】
- ジョン・コルトレーンおすすめ名盤5選【進化し続けたジャズの求道者】
- ハンク・モブレーのおすすめ名盤5選【端正な音色に溢れだすフレーズ】
- デクスター・ゴードンおすすめ名盤5選【豪快さと優しさを併せ持つ極上のテナー】
- ジョニー・グリフィンおすすめ名盤5選【最速のテナーサックスと呼ばれたリトルジャイアント】
- キャノンボール・アダレイおすすめ名盤5選【ソウルジャズ、ファンキージャズ】
- スイング ジャズの名曲とおすすめミュージシャン10選
- アート・ブレイキー(ザ・ジャズ・メッセンジャーズ)おすすめ名盤5選【多くのスターミュージシャンを育てたバンドリーダー】
- オスカー・ピーターソンおすすめ名盤5選【超絶テクニックとエンターテインメント性を兼ね備える銀盤の皇帝】
- キース・ジャレットおすすめ名盤5選【美しい旋律と芸術的即興演奏の極み】
- ビル・エヴァンスおすすめ名盤5選【美しく独創的なジャズ】
- スタン・ゲッツおすすめ名盤5選【クール・ジャズ、ボサノバ】
- ハービー・ハンコックおすすめ名盤5選【ジャズの垣根を超え、今も活躍する大御所】
- ジミー・スミスのおすすめ名盤5選【ソウルジャズを確立したジャズオルガンのパイオニア】
- ジョー・パスのおすすめ名盤5選【美しい音色と超絶技巧で聴かせるソロギターは唯一無二】