グラミー賞を獲得すること9回。
ジャズの巨匠、ウェイン・ショーターを名盤と共にご紹介いたします。
演奏はユニークで神秘的、それが時にオカルトチックに聴こえることもあるみたいで…。
好みがわかれるところかも知れませんがテナーサックス・ソプラノサックス奏者というだけでなく作曲家、音楽監督としても優れた才能を持つ、天才音楽家ということは間違いありません。
ウェイン・ショーターの主な経歴
生誕:1933年8月25日
出身地: アメリカ合衆国
担当楽器:テナーサックス・ソプラノサックス
西暦 | 内容 |
1933年 | アメリカ合衆国 ニュージャージー州で生まれる。 幼少の頃は音楽より美術や映画などに興味があった。 15歳の時にクラリネットで本格的に音楽を習い、音楽専攻でニューヨーク大学に入学・卒業するが卒業後にすぐに徴兵される。 |
1958年 | 軍隊を除隊。 その後、演奏活動を開始。 |
1959年 | アート・ブレイキー&ジャズ・メッセンジャーズに参加。 音楽監督も務める。 |
1964年 | マイルス・デイヴィスのクインテットに参加。 マイルス・デイヴィスの右腕としてキャリアを積む。 |
1970年 | ウェザー・リポートを結成。 従来通りのジャズのイメージを断ち切ったジャズフュージョンを確立し、全世界にブームを巻き起こす。 |
1986年 | ウェザー・リポートを解散。 解散以降も精力的に音楽活動を続ける。 |
ウェイン・ショーターの紹介
ウェイン・ショーターはアメリカ合衆国 ニュージャージー州で生まれ。
子どもの頃は音楽より美術に興味があったようです。
才能も非凡で12歳の油絵で州の美術展に出展し入賞。
15歳で長編マンガを完成させたそうです。
どんなマンガを描いたか気になりますね(^^;)
分野は違えどクリエイティブな才能は子どもの頃から開花していたウェイン・ショーター。
音楽を本格的に始めたのは15歳。
きっかけは好きだった映画を観に行った時に、映画の間で演奏したミュージシャンに感化されたとか、ラジオで聞いたビ・バップに強い啓示を感じたとか諸説あります。
ウェイン・ショーターは楽器の上達も早く、しかも音楽専攻で学位を取るために名門、ニューヨーク大学に入学し、学位を取得します。
楽器を本格的に始めるのが少々遅かったウェイン・ショーターですが、大学まで出てしっかり音楽について学んだことや子どもの頃から興味があった絵画などの他分野でのクリエイティブセンスがきっと後のキャリアの役に立ったのでしょう。
大学を卒業後、徴兵により軍隊に入隊しますが、1年で除隊。
この時も射撃の腕を買われ除隊を慰留されたとか…。
本当に多才な人です。
1959年からはアート・ブレイキー率いるジャズメッセンジャーズに参加。
ここではテナーサックス奏者としてだけではなく音楽監督としても活躍します。
そしてウェイン・ショーターがさらに飛躍するきっかけとなったのはマイルス・デイヴィスのクインテットに参加したことが大きいでしょう。
マイルス・デイヴィスに最初はジョン・コルトレーンから紹介をされたそうです。
ウェイン・ショーターはジョン・コルトレーンとは軍隊を除隊後にナイトクラブでセッション活動していた時期から出会っていて、その頃からジョン・コルトレーンに感銘を受けてました。
ジョン・コルトレーンもかつてマイルス・デイヴィスのバンドで活動して、自身のリーダーバンドを率いるようになっても度々、参加していたようですが1950年代後半は多忙を極め、自分の後釜という意味でマイルス・デイヴィスにウェイン・ショーターを紹介したようです。
マイルス・デイヴィスもすぐにはウェイン・ショーターに興味を示しませんでしたが…。
ウェイン・ショーターの才能がマイルス・デイヴィスの目に止まるのは時間の問題でした。
ウェイン・ショーターもジャズメッセンジャーズの仕事もあったのですぐにマイルス・デイヴィスのクインテットに参加できませんでした。
しかし、マイルス・デイヴィスの熱心な誘いにより、とうとう1964年にマイルス・デイヴィスのクインテットに参加します。
ハービー・ハンコック、ロン・カーター、トニー・ウィリアムスそしてリーダーのマイルス・デイヴィス。
このクインテットは「黄金のクインテット」と呼ばれ、ジャズ史上でもモダンジャズの頂点といわれるほど評価が高いです。
このマイルス・デイヴィスのクインテットにおいてもウェイン・ショーターは参謀的な地位で活躍します。
またこの時期、ウェイン・ショーターはブルーノートで自身の作品の録音も開始します。
1970年、ウェイン・ショーターはジョー・ザヴィヌルとともにウェザー・リポートを結成。
従来のジャズのイメージを覆したジャズフュージョンで世界的人気を獲得します。
1986年、ウェザー・リポート解散以降も第一線で活躍し続け、グラミー賞獲得は数えること9回。
未だ現役のジャズの巨匠です。
ウェイン・ショーターのおすすめ名盤①
ナイト・ドリーマー
1964年、ウェイン・ショーターがマイルス・デイヴィスのクインテットに参加する直前に録音されたアルバムです。
メンバーはリー・モーガン(tp)、マッコイ・タイナー(p)レージー・ワークマン(b)エルヴィン・ジョーンズ(ds)。
フロントのリー・モーガンはジャズメッセンジャーズの盟友、リズムセクションはジョン・コルトレーンのバンドメンバーですね。
当時のウェイン・ショーターの人脈が伺い知れます。
曲はすべてウェイン・ショーターのオリジナル曲。
4曲目『ブラックナイル』が格好良いです!
ウェイン・ショーターのおすすめ名盤②
ジュジュ+2
1964年、録音。
本アルバムはワンホーンでリズムセクションはマッコイ・タイナー(p)レージー・ワークマン(b)エルヴィン・ジョーンズ(ds)と『ナイトドリーマー』と同じ。
本アルバム『ジュジュ』ではジャズスタンダードともいえるウェイン・ショーター作曲『イエス・オア・ノー』がおすすめ。
後、余談ですがアルバムタイトルの『ジュジュ』は日本人歌手JUJUの由来になっているとか…。
ウェイン・ショーターのおすすめ名盤③
Adam’s Apple
1966年、録音。
ワンホーンアルバムですがこちらは先にご紹介した名盤とはレジー・ワークマン以外はメンバーが代わり、ハービー・ハンコック(p)レジー・ワークマン(b)ジョー・チェンバース(ds)。
ハービー・ハンコックはマイルス・デイヴィスクインテットの盟友ですね。
アルバムタイトルになっている『アダムスアップル』はどこかハービー・ハンコックの『ウォーターメロンマン』を思わせる
明るい曲ではありますがメインがテナーサックスで低音のためか若干、おどろおどろしく聴こえます(^^;)
ウェイン・ショーターのおすすめ名盤④
Wayning Moments
ウェイン・ショーターがジャズメッセンジャーズに在籍時に録音したアルバム。
ユニークで神秘的なフレーズがウェイン・ショーターですが1曲目『All or Nothing At All』はとても美しい演奏です。
2曲目『Black Orpheus』はジャズのスタンダード曲。
少しアップテンポですがテーマ部分は控えめなアレンジでとても聴きやすくおすすめです。
ウェイン・ショーターのおすすめ名盤⑤
Soothsayer
録音は1965年ですがリリースされたのは1979年。
一体何があったんでしょうか(^^;)
メンバーはロン・カーター(b)、トニー・ウイリアム(ds)、マッコイ・タイナー(p)。
マイルス・デイヴィスクインテットとジョン・コルトレーンのバンドメンバーからの構成ですが先にご紹介したアルバムとは人員は違いますね。
アップテンポな曲が多い中、『Lady Day』のしっとりした演奏が素敵です。
まとめ
ウェイン・ショーターは長年、第一線でジャズにとどまらずクロスオーバーなジャンルで活躍されていますが、今回は1960年代に録音されたモダンジャズの名盤をご紹介させていただきました。
作曲家としても優れたミュージシャンなのでオリジナル曲が多いのも特徴です。
お気に入りの曲が見つかりません(^^)
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