ギターはピアノと並ぶ万能楽器でロックやポップスなら花形楽器の一つとして人気が高いです。
しかしジャズというジャンルにおいてはどちらかというと大きくスポットが当たる楽器ではありませんでした。
(スイングジャズ・モダンジャズ全盛期において)
そんな中でソロギターでジャズを奏でることで有名になったジャズミュージシャンがジョー・パス。
今回はジャズ・ギタリスト、ジョー・パスのおすすめ名盤をご紹介します!
ジョー・パスの紹介(遅咲きの超絶技巧派)
ジョー・パスは1929年生まれ。
14歳には演奏活動を始めていた早熟な一面もありますが、初リーダー作は1961年と30歳を過ぎる頃です。
生まれた年代や十代から演奏活動をされていたことから、ビ・バップ、バード・バップが流行っていた1950年代から活躍していても不思議ではないのですが…。
ジョー・パスの初リーダー作が遅くなった理由は麻薬です。
当時のジャズミュージシャンは麻薬に溺れることはそこまで珍しくありませんが、ジョー・パスの場合は10年以上、療養されていたそうです。
実質、20代は棒にふった感じですね…。
ジョー・パスは独学でギターを学び、14歳で演奏活動をしていた早熟の天才なので療養生活がなければもっと早くから第一線で活躍されていたかも知れませんね。
そして、やっと目が出た30代。
そこまで年齢が変わらない1925年生まれのオスカー・ピーターソンとの共演を「大御所との共演」とされるのは遅咲きが理由なんでしょう。
1961年の初アルバムリリース以来は着実にキャリアを積んでいきます。
1963年には最有力ジャズ・マガジン『ダウンビート』の年間新人賞を受賞。
翌64年には、現在も彼の代表作の1つといわれる『フォー・ジャンゴ』をリリースします。
着実にキャリアを重ねていきますがジャズミュージシャンとしての名声を不動のものにしたのは、1973年の『ヴァーチュオーゾ』からになります。
『ヴァーチュオーゾ』は新たに契約したパブロ・レコードのプロデューサー、ノーマン・グランツによる企画で当時は珍しい完全ソロギターのアルバム。
ソロギターは超絶技巧、リリカルな演奏が存分に発揮できる、ジョー・パスにとってまさにうってつけの演奏スタイルでした。
このアルバムでジョー・パスとともにジャズのソロギターが認知されたといっても過言ではありません。
1970年代といえばジャズ・フュージョンが台頭してきた時期で電子楽器がジャズに普及してきた時期ではありますが…。
ジョー・パスの演奏の特徴はアコースティックな澄んだ音色と美しいパッセージ。
繊細で柔和な演奏は日本人好みでもあり、まさに匠の域。
当時の流行に関係なく受け入られたのですね!
では次の項目でジョー・パスのおすすめ名盤をご紹介させていただきます。
ジョー・パスのおすすめ名盤①
アルバム名の通り、敬愛するジャンゴ・ラインハルトへ捧げたアルバム。
長い療養生活から抜け出して着実にキャリアを積み重ねていた時期の1965年にリリースした作品です。
リーダーのジョー・パスにリズムセクションとしてギター、ベース、ドラムというバンド編成で演奏されてます。
ギターが2本入るバンドというのは珍しいですが、主役はあくまでもジョー・パス。
もう一本はリズムセクションに徹し、良い仕事をされています。
『ジャンゴ』をはじめ、哀愁を帯びた曲が多いですが、ジャズスタンダード曲『ナイト・アンド・ディ』のような白熱の演奏もGOODです!
ジョー・パスのおすすめ名盤②
ジョー・パスの代表作『ヴァーチュオーゾ』はシリーズで続いていて4作品あります。
1と4は生音、2はエレクトロニック、3はオリジナル曲集と特徴がありますが、まずは1作目を聴いていただきたいです。
アコースティックで澄んだ音色で叙情的ですがジョー・パスの超絶技巧で甘すぎることなくいぶし銀って感じの渋い演奏!
取り上げらている曲もジャズスタンダード曲の中でも有名なものが多く、親しみやすく聴きやすいです。
ジョー・パスのおすすめ名盤③
1992年の作品。
ジョー・パスの晩年の代表作です。
ソロギターでジャズスタンダード曲を…。
という観点では『ヴァーチュオーゾ』とかぶるところもありますが、より円熟味が増したジョー・パスのそろギターを是非、聴いていただきたいですね。
本作品『Unforgettable』でジョー・パスはガットギターを使用しています。
クラシックギターの一種で弦がナイロン製で美しく温かみのある音が特徴らしいです。
ジョー・パスのおすすめ名盤④
ジョー・パスの超絶テクはソロギターだけでなく、共演作も評価が高いです。
本作『Fitzgerald & Pass Again』はジャズ史上で見てもトップクラスの女性ジャズ・シンガー、エラ・フィッツジェラルドとのデュオ。
大御所の域に達した円熟味のあるエラのボーカルといぶし銀のジョー・パスの演奏が素晴らしいです。
ボーカルとのデュオの場合はギターは伴奏に回ることが多くなりますが、ジョー・パスの美しいギターの音色は何とも存在感があり、かつエラのボーカルをしっかりと引き立てています!
ジョー・パスのおすすめ名盤⑤
オスカー・ピーターソンをメインに据えたトリオ編成のアルバム。
ジャズのピアノトリオといえばピアノ、ベース、ドラムの編成が多いのですが本作『ザ・トリオ』はピアノ、ギター、ベースの編成。
そしてギターを担当するのはジョー・パスという訳です。
縦横無尽に弾きまくるオスカー・ピーターソンを支え、いぶし銀の演奏を披露されています。
1973年にリリースされたアルバムで4曲目の『カム・サンデイ』はジョー・パスのソロ演奏になって必聴です!
大ヒットしたソロアルバム『ヴァーチュオーゾ』も同年のリリースでした。
ジョー・パスにとって飛躍の年でしたね~。
まとめ
ジャズ・ギタリストの中でもジョー・パスの演奏は唯一無二。
アコギのような澄んだ音色で叙情的な演奏が好みの方は是非、ジョー・パスを聴いていただきたいです。
以上「ジョー・パスのおすすめ名盤5選【美しい音色と超絶技巧で聴かせるソロギターは唯一無二】」でした
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