1950年代に西海岸で流行ったウエストコーストジャズの代表的なジャズミュージシャンの一人。
甘いマスクに優しい歌声、クールなトランペットの演奏・・・。
一時期はあのマイルス・デイビスをも上回る人気を誇りました。
しかし、良かった時期は若かりし頃のみで後は波乱万丈の人生でした・・・。
今回はチェット・ベイカーとおすすめの名盤のご紹介です。
チェット・ベイカーの紹介
若かりし頃は「ジャズ界のジェームス・ディーン」と呼ばれるほどイケメンでリリカルでシンプルな演奏を得意としたジャズトランぺッター。
さらに優しく、どこかアンニュイな感じのボーカルでも人気を博しました。
しかしこの時代のジャズミュージシャンの例に漏れず、麻薬に溺れてしまい・・・。
そして一生、麻薬を断つことができずに30代以降は刑務所と病院での生活が大半を占める等、波乱万丈の人生を送ることになります。
マイルス・デイビスやジョン・コルトレーン、そしてソニー・ロリンズも麻薬に溺れていた時期がありました。
この時代に活躍したジャズミュージシャンは麻薬に一切、手を出さないというのは難しかったのかもしれません。しかし、このお三方は見事「麻薬断ち」に成功してますからね~。
その辺りは個々のメンタルや周囲の環境が影響するのかもしれません。
最近、チェットベイカーの自伝映画が公開され、今はDVDも出てますね。
チェットベイカーの自伝映画『ブルーに生まれついて』の感想記事もありますので是非、ご覧ください。
「ブルーに生まれついて」映画感想・あらすじ【チェット・ベイカーの自伝映画】
刑務所から出所して新しい恋人と出会い、どん底から再起に向かっている時期を取り上げた映画ですが・・・。
天才的な音楽センスを持ち、再起に向けて努力を重ねますが、どこか意思の弱さ、だらしなさを感じさせます。その辺りをイーサン・ホークが見事に演じ切っていて素晴らしい映画だと思います。
自伝映画『ブルーに生まれついて』はチェット・ベイカーがヨーロッパに旅立つまでを描いてますが、ヨーロッパに活動拠点を移してからもやはり、麻薬とは縁を切れませんでした。
晩年は若い頃のイケメンの面影はまるで無く、年よりも随分、老けた容姿になってしまいます・・・。
それでも若い頃には醸し出せなかった哀愁を帯びた演奏で再評価されますが、完全復活とまではいかず・・・。
最後はホテルから転落するという不可解な死をとげます。
チェット・ベイカーおすすめ名盤①
チェット・ベイカー・シングス
こちらはチェット・ベイカーの残した名盤の中でも鉄板ですね。
若くて勢いのある頃のアルバムでウエストコーストジャズの中でも代表的なアルバムです。
デイジー・ガレスピーのように高音域を駆使した華やかな演奏でもなく、マイルス・デイビスのような研ぎ澄まされた音色でもなく・・・。
シンプルでリリカルなトランペットの演奏、そして本アルバムはボーカルメインなので優しい歌声が特徴のボーカルを堪能できます。
名曲『My Funny Valentine』や『But Not For Me 』も収録されています。
余談ですが歌手で女優の原田知世さんのおすすめの1枚でもあります。
チェット・ベイカーおすすめ名盤②
チェット・ベイカー&クルー
ジャケットがなかなか印象的ですね(^^;)
ハードバップのファンキーなイメージとクルージャズの爽やかさを併せもったような演奏が聴ける一枚。
このアルバムではチェット・ベイカーの全盛期のトランペットの演奏が堪能できます。
先ほど紹介した『チェット・ベイカー・シングス』はタイトル名通り、ボーカルメインですから(^^;)
有名どころのスタンダード曲は収録されていませんが、どの演奏も爽快で心地よいです!
チェット・ベイカーおすすめ名盤③
チェット+1
スタンダード集です。
どれも有名な曲ばかりでチェット・ベイカーも奇を衒う演奏はしない人なので素直に美しいメロディを堪能できます。
またこのアルバムではジャズピアニストのビル・エバンスとも一部、共演しているところも見逃せません。
『あなたと夜と音楽と』『 ユード・ビー・ソー・ナイス・トゥ・カム・ホーム・トゥ 』『アローン・トゥゲザー』は特におすすめです。
ジャズの入門編にも最適な1枚です。
チェット・ベイカーおすすめ名盤④
枯葉
アルバムタイトルになっている『枯葉』は数あるスタンダード曲の中でも多くのジャズミュージシャンに演奏されてきたド定番の一曲です。
もともとはシャンソンの曲ですがジャズのスタンダード曲としてジャズミュージシャン達に愛される理由としてはシンプルなコード進行ということがあると思います。
聴く側でなく演奏する側の都合ですが(^^;)
コード進行がシンプルだと楽器初心者でも比較的、簡単にアドリブ演奏ができますし、ベテラン演奏者はシンプルなコード進行の中でいかに独自性を出すか腕の見せ所でもあるのです。
チェット・ベイカーの枯葉はシンプルな演奏が身上の彼らしく、初心者のお手本となるような綺麗な演奏ですが、どこかしら哀愁を帯びていい味が出ています。
チェット・ベイカーおすすめ名盤⑤
CANDY
トランペットで『CANDY』といえばリー・モーガンの演奏があまりにも有名です。
リー・モーガンの『CANDY』は華やかで派手な演奏でしたが、チェット・ベイカーは対照的で何とも静かでクールな演奏です。
もっともチェット・ベイカーのはボーカルメインなので比べるのはちょっと違うのかも知れませんが(^^;)
相変わらずの優しい歌声ではありますが、晩年の演奏なので若かりし頃とはまた違う味が出ていると思います。
見た目は別人のようです(^^;)
良い歳の取り方をしたらきっとダンディなオヤジになっていたでしょうに・・・。
Amazon『Prime Music』で聴けるチェット・ベイカー
- チェット・ベイカー・シングス
- CANDY
- September Song
- The Complete Original Chet Baker Sings
Amazonのプライム会員だと上記、4つのアルバムが無料で聴けます。
今回、ご紹介したアルバムは2つ含まれてます。
『チェット・ベイカー・シングス』と『CANDY』で勢いのある若かりし頃の演奏と晩年の味のある演奏を聴き比べるのも良いかもしれません(^^)
まとめ
トランペットもボーカルも独特のセンスでクールでシンプルに歌い上げるチェット・ベイカーはジャズ初心者の方にも聴きやすいかと思います。
自身でバリバリ、曲を作るタイプではなく有名なスタンダード曲を多く取り上げているアルバムも多いのでなおさらです。
以上、「チェット・ベイカーのおすすめ名盤5選【甘美な歌声とクールなトランペットの音色】】」でした。
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