ジャズの創成期より花形楽器とされてきたトランペット。
歴代、そうそうたるミュージシャンが顔をそろえてますが、その中でもおしゃれでカッコよく、華のある演奏をするトランぺッターといえばリー・モーガンです。
私生活も派手で愛人に射殺されるという壮絶な最期を迎えたジゴロを地でいくミュージシャンでもあります(^^;)
今回はリー・モーガンをおすすめ名盤とともに紹介します。
リー・モーガンについて
生誕:1938年7月10日
出身地: ペンシルベニア州
担当楽器:トランペット
リー・モーガンの主な経歴
年号 | 内容 |
1938年 | アメリカ合衆国ペンシルベニア州フィラデルフィアで生まれる。子どもの頃から神童と呼ばれるほど名高かった |
1956年 | デイジー・ガレスピーのバンドでプロとしても活動をはじめ、その年にはブルーノートでリーダー作を出す。 |
1960年 | アート・ブレイキー&ザ・ジャズメッセンジャーズに所属。『Moanin’』等の名曲の収録に参加する。 |
1963年 | ブルーノートからリリースした8ビートジャズ『The Sidewinder』が大ヒットする。演奏技術だけでなく作曲能力を開花させる。 |
1972年 | 新な音楽性を探りフュージョンの道を模索していたが、セカンド・セット後、楽屋に押しかけてきた愛人と口論になり、射殺される |
瞬く間に魅了される華のある演奏
私にトランぺットの良さを教えてくれたのがリー・モーガンでした。
勝手な偏見ですが・・・。
トランペットに持ってたイメージが「明るく健やか」って感じでした。
ジャズを聴き始めてからもサッチモやデイジー・ガレスピーの演奏は健やかではないにしろ、本人たちのキャラも踏まえ、明るくひょうきんでエンターテイナーって感じの印象です。
マイルス・デイビスの研ぎ澄まされたクールな演奏は格好いいですが、良さがわかるまで少し、時間がかかりました(^^;)
リー・モーガンを初めて聴いたのがハンク・モブレーのリーダーアルバム『ディッピン』というアルバムでした。
当時(今も)はサックス派でサックス奏者のリーダー作を中心にアルバムをあさっていたのですが、『ディッピン』でのリー・モーガンの華のあるトランペットの演奏を聴いて瞬く間に虜になりました。
「ジャズ史に残る天才の一人」と称されるリー・モーガン。生まれながら華をもっているのでしょうね。
ただ天才故か私生活は波乱万丈。この時代のジャズミュージシャンには本当に多いのですが、リー・モーガンも麻薬絡みの問題でジャズメッセンジャーズをクビになってます。
そして33歳の若さで愛人に射殺されるといった、まるで映画のような最後で人生を終えます。
子どもの頃から神童と言われ、プロとしての活動も若くして実力を認められ、成功した早熟の天才。そして逝ってしまうのも早かったですね・・・。
多様な音楽性に対応できる柔軟性を持っていたリー・モーガンだけに近代化されたジャズシーンでの演奏も見たかったものです。
リー・モーガンおすすめ名盤①
キャンディ
リー・モーガンのワンホーンで録音されたアルバム。
ワンホーンでも全く地味な感じはなく、むしろ華やかなリー・モーガンの演奏をじっくり堪能できるのでリー・モーガンを知る最初のアルバムとしても良いと思います。
サイドマンのピアニスト、ソニー・クラークの演奏も美しくて華やか。リー・モーガンの演奏とマッチしてます。
特にミディアムテンポで演奏される『Candy』はとてもオシャレです。
このアルバムの収録時、リー・モーガンは何と19歳。やはり天才ですね(^^;)
- Candy
- Since I Fell For You
- C.T.A.
- All The Way
- Who Do You Love, I Hope
- Personality
- All At Once You Love Her
リー・モーガンおすすめ名盤②
ザ・サイドワインダー
リー・モーガンの代表作でタイトル曲『The Sidewinder』は8ビートジャズ、いわゆる「ジャズロック」として大ヒットしました。
演奏の面はそれこそ若くして天才と称されていたリー・モーガンが作曲の才能を見せつけた作品でもあります。
この時点で20代半ばなのでまだ充分、若いのですが(^^;)
タイトル曲の『The Sidewinder』が一番、有名ですが2曲目の『Totem Pole』も良いので是非、聴いてみてください。
- The Sidewinder
- Totem Pole
- Gary’s Notebook
- Boy, What A Night
- Hocus-Pocus
- Totem Pole
リー・モーガンおすすめ名盤③
Cornbread
フロントはリー・モーガンに加え、アルトサックスのジャッキー・マクリーン、テナーサックスに ハンク・モブレーの3管、そしてピアノにハービー・ハンコックを迎えた豪華なメンバーで収録されたアルバム。
全体的にハービー・ハンコックが良い味を出してます。
1曲目の『Cornbread』はアップテンポでリー・モーガンの格好良さが十二分に出てます。
『Ceora』はボサノバリズムの穏やかなバラード。イントロから始まるハービー・ハンコックのソロピアノがシンプルながら存在感が抜群です。
リー・モーガンとハンク・モブレーのユニゾンも美しいです。
- Cornbread
- Our Man Higgins
- Ceora
- Ill Wind
- Most Like Lee
リー・モーガンおすすめ名盤④
リー・モーガン Vol.3
57年に録音されたブルーノート3作目のアルバム。
テナーサックス奏者のベニー・ゴルソンがミュージカルディレクターを務め、曲も提供しました。
本アルバムで有名なのが何と言っても『I Remember Clifford』。25歳の若さで交通事故で亡くなったクリフォード・ブラウンの追悼曲としてベニー・ゴルソンが作った曲です。
今まで多くのジャズトランぺッターに演奏されてきましたが、本アルバムに収録されている『I Remember Clifford』は最高の演奏と非常に評価が高いです。
リー・モーガンがクリフォード・ブラウンに代わり、ジャズトランぺッターの第一人者として期待され始めるきっかけにもなります。
- Hasaan’s Dream
- Domingo
- I Remember Clifford
- Mesabi Chant
- Tip-Toeing
- Tip-Toeing (Alternate Take)
リー・モーガンおすすめ名盤⑤
Moanin
リー・モーガンのリーダーアルバムではありませんが・・・。
数ある名盤の中でもひと際人気の高い作品なので紹介しておきます。
本アルバム『Moanin’』はザ・ジャズメッセンジャーズの代表作です。
ザ・ジャズメッセンジャーズは1955年、ピアニストのホレス・シルヴァーとドラムのアート・ブレイキーが中心として結成されたバンドです。ホレス・シルヴァーが脱退後はアート・ブレイキーがリーダーとなり、長期間、ジャズシーンで活躍しました。
長年、第一線でいられた理由はリーダーのアート・ブレイキーが若手の育成に力を注ぎ、見事に成功させ続けたからです。ザ・ジャズメッセンジャーズを巣立ったミュージシャンはざっと挙げただけでもリー・モーガン、ウェイン・ショーター、フレディ・ハバード、キース・ジャレット、ウィントン・マルサリス、ブランフォード・マルサリス等、そうそうたる顔ぶれです。
ホレス・シルヴァー脱退後、ザ・ジャズメッセンジャーズは低迷の次期があったのですがテナーサックスのベニー・ゴルソンの加入をきっかけにメンバーを一新。その中にリー・モーガンが入っていたわけです。
ジャズ史上屈指の名曲『Moanin’』でリー・モーガンの演奏を堪能してください。
- Warm-up and Dialogue Between Lee and Rudy
- Moanin’
- Are You Real
- Along Came Betty
- The Drum Thunder Suite
- Blues March
- Come Rain or Come Shine
- Moanin’ (Alternate Take)
Amazon『Prime Music』で聴けるリー・モーガン
- The Sidewinder (The Rudy Van Gelder Edition) (The Rudy Van Gelder Edition)
- Candy
- The Sidewinder
Amazonのプライム会員だと上記、2(3)つのアルバムが無料で聴けます。
今回、ご紹介したアルバムは2つ含まれてます。
『The Sidewinder』『Candy』が聴けるのでリー・モーガンを知るには十分かと思います。会員の方は是非、聴いてみてください(^^)
Amazon Music Unlimitedだとさらに聴けるアルバムが増えます。
無料お試し期間もあるのでチェックしてみてください!
まとめ
リー・モーガンはハンク・モブレーの『ディッピン』、ジョン・コルトレーンの『ブルー・トレイン』など他のミュージシャンのアルバムでもサイドマンとして活躍しました。
華のある天才トランぺッター、リー・モーガンの演奏はジャズの初心者の方でもきっと気に入っていただけると思います。
今回のおすすめのアルバムでリー・モーガンを気に入っていただけれましたら、他のアルバムも手に取ってみてください。
以上、「リー・モーガンおすすめ名盤5選【ジャズ史上、屈指の天才トランぺッター】」でした。