勾玉シリーズの萩原規子がおくる、アラビアを舞台にしたファンタジー小説です!
内容紹介(あらすじ)
失恋した15歳の誕生日、ひろみは目が覚めたらアラビアンナイトの世界に飛び込んでしまった、しかも魔神(ジン)として!王宮から逃げ出した王子様、空飛ぶ木馬、そして絶世の奴隷美少女。荻原規子の初期作品復活! (アマゾンより引用)
いきなり主人公が魔人族(ジン)に!?
主人公は15歳の女の子、ヒロミ。失恋した誕生日の夜に目が覚めればアラビアンナイトの世界で魔神(ジン)になっていたという珍しい切り口ですね。
ヒロミは失恋直後なので最初はやや自己嫌悪気味ですが、物語が進むつれ心が癒されていき逞しく成長していく・・・。
こういうところはファンタジー小説の王道をしっかり押さえてますね。
ただ(主人公の)恋愛要素は少な目です。恋心を抱く程度はあっても大恋愛に発展するようなシーンはありません。設定が魔神(ジン)ですからね(^^;)
本書は女の子目線で物語が進んでいくので本来の読者対象は同年代の女の子なのでしょう。
ですが主人公がサッパリした性格で、しかも魔神(ジン)になるという設定ですので大人の私でもすんなり読める作品になってます。
煌びやかなアラビアンナイトの世界
同著者の人気作、『勾玉シリーズ』の舞台は古事記を彷彿とさせる古代の日本でしたね。
今回の舞台はアラビア。『シンドバットの冒険』や『アラジンと魔法のランプ』、『アリババ』の話など馴染み深い方も多いのではないでしょうか。
これらの話は『千夜一夜物語』の一節です。
『千夜一夜物語』自体、何巻にわたり読み応えのある物語ですが、故に読破するのも時間がかかります。
興味はあるけとちょっと手に取るのに躊躇してしまう方は、本書をおススメします。
ターバン等の独特の民族衣装、果てまで続きそうな広大な砂漠、贅沢を極めた王宮、剣と魔法の世界・・・。煌びやかなアラビアンナイトの世界を手軽に堪能できます。
交響組曲から誕生した本書
著者はこの作品の発想を得たのはリムスキー・コルサコフの交響組曲『シェエラザード』を聴いた時らしいです。
この曲は・・・
第1楽章「海とシンドバッドの船」
第2楽章「カランダール王子の物語」
第3楽章「若い王子と王女」
第4楽章「バグダッドの祭り。海。船は青銅の騎士のある岩で難破。終曲」
の構成でできてますが、まさに本書の目次そのものです。
音楽を聴いて物語が浮かぶのというは流石の才覚ですね。
まとめ
本当は『空色勾玉』を読んだ流れで勾玉シリーズを読んでいこうと考えたところ、他の2冊はともに上下巻ということが判明。
ちょっと最近、忙しかったのでもっと手軽に読めるファンタジー小説はないかと探し、同著者の本書にたどり着きました。
私が知らないだけかも知れませんがアラビアを舞台にしたファンタジーって意外に少ない気がします。そういう意味でも良い本に出会ったな~って思います(^^)/
本著者のファンタジー小説は基本、児童書ではありますが今のところ、どの本も大人でも充分、堪能できる作品だと思います。
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