今回はセロニアス・モンクをおすすめ名盤とともにご紹介します。
独創的な演奏スタイル、こだわりが深く卓越した作曲能力、そして風変わりな性格も重なり、ジャズの奇才と呼ぶに相応しいピアニストです。
セロニアス・モンクの主な経歴
出生名:セロニアス・スフィア・モンク
生誕:1917年10月10日
出身地: アメリカ合衆国
担当楽器:ピアノ
西暦 | 内容 |
1917年 | ノースカロライナ州で生まれる。 ピアノは6歳から始める。(ほぼ独学とされる) |
1944年 | 1940年初頭からジャズミュージシャンとして活動を始め、1944年にスタジオで初録音を経験する。 |
1947年 | 初のリーダー作をリリース。 その後1950~60年代は精力的にアルバムを残す |
1971年 | 最後の録音が行われる。 その後は殆ど音楽活動をしなかった。 |
1982年 | 脳梗塞のため亡くなる。 |
セロニアス・モンクの紹介
ビ・バップの立役者といえばアルトサックス奏者のチャーリー・パーカーやトランぺッターデイジー・ガレスピーの名前が思い浮かびますがジャズ・ピアニストのセロニアス・モンクも忘れては行けません。
独特の演奏スタイル、無口で風変わりな性格から奇人と呼ばれる側面もありますが、音楽理論に精通し、優れた作曲家でもあるセロニアス・モンクは現役時代から多くのジャズ・ミュージシャンに大きな影響を与えてきました。
1940年代の初頭、ニューヨークにあるライブハウス「ミントンズ」では夜な夜なジャズミュージシャンたちが即興演奏で腕を競い合っていました。
ここがビ・バップの始まりと言われています。
当時、活躍していたのがチャーリー・パーカー、デイジー・ガレスピーそしてセロニアス・モンクでした。
セロニアス・モンクはミントンズのハウスピアニストを担当していました。
ジャズピアニストのテクニックといえばバド・パウエルのような速弾きをイメージしますが、セロニアス・モンクは休止符を多く使い、突拍子のないコード連結で演奏するなど独特のスタイルで評価を得ました。
セロニアス・モンクの独特の演奏スタイルは時に他のミュージシャンと衝突することも…。
マイルス・デイヴィスとの「喧嘩セッション」が有名ですね。
1954年のクリスマスイブに録音されたことから「クリスマスセッション」とも呼ばれます。
この日、マイルス・デイヴィスのリーダー作『バグス・グルーヴ』と『マイルス・デイヴィス・アンド・ザ・モダン・ジャズ・ジャイアンツ』の録音が行われたのですが、この録音にセロニアス・モンクもピアニストとして参加しました。
プレスティッジレコードの社長がマイルスにセロニアス・モンクを積極的に進めたそうです。
マイルス・デイヴィスはセロニアス・モンクの独特の演奏スタイルを知っていたので自分のソロの時は演奏しないで欲しいとお願いしました。
それにセロニアス・モンクが腹を立てた…。
かどうかは定かではありませんがセロニアス・モンクがソロでピアノを演奏しないという奇行に出ました。
この後、マイルス・デイヴィスとセロニアス・モンクの共演がないことからセロニアス・モンクが喧嘩を仕掛けたという噂が流れて「喧嘩セッション」と呼ばれるようになりました。
本件のことの真相はセロニアス・モンク自身から語られることはなかったので実際のところは分かりませんが…。
セロニアス・モンクが独特で風変わりな人物だということは伝わるエピソードですね~。
セロニアス・モンクは他にもホテルでレジを触っていたら誤解を受けて留置場のお世話になったり、普段の生活でも色々と奇行が多い人物だったそうです。
こんなセロニアス・モンクですが希代の天才ジャズピアニスト、バド・パウエルにジャズ理論を教えたり、マイルス・デイヴィスのバンドをクビになったジョン・コルトレーンを自身のバンドに誘ったりと兄貴分的な側面もありました。
特にジョン・コルトレーンはセロニアス・モンクとの共演後は目覚ましい活躍を見せました。
そのことについてジョン・コルトレーン自身もセロニアス・モンクからの影響が大きかったと述べてます。
また演奏スタイルの独特さは先述した通りですが、セロニアス・モンクが作曲した『ラウンド・ミッドナイト』はジャズ史上で最も美しい曲といわれるほど素敵な曲をつくっています。
セロニアス・モンクは1960年代までは音楽活動をしていましたが1970年代に入るとめっきり表舞台から姿を消し、1982年に脳梗塞で亡くなりました。
セロニアス・モンクのおすすめ名盤①
ソロ・モンク+9
1964、65年に録音されたセロニアス・モンクのソロアルバム。
『ダイナ』『アイ・シュッド・ケア』などのジャズスタンダード曲と『ルビー・マイ・ディア』などのセロニアス・モンクのオリジナル曲を収録。
ジャズスタンダード曲といっても知名度の高い曲ではないので…。
ここはセロニアス・モンクのオリジナル曲をおすすめします。
『ルビー・マイ・ディア』はリリカルでユニークさもある素敵な演奏です!
セロニアス・モンクのおすすめ名盤②
パロ・アルト ~ザ・ロスト・コンサート
1968年の録音のライブアルバム。
時期的にいえばセロニアス・モンクの晩年の作品です。
こちらのライブアルバムはただのライブアルバムではありません…。
会場はなんと高校の校舎。
1968年はキング牧師が暗殺された年で全米が人種差別で揺れていました。
このライブはジャズ好きの一人の高校生の「ジャズを通じて人々の結束を願いたい」という熱い気持ちにセロニアス・モンクが応えた形で実現しました。
まさに歴史的名盤です。
どの演奏も迫力あり素晴らしいですが『ブルー・モンク』が特におすすめです。
セロニアス・モンクのおすすめ名盤③
モンクス・ドリーム+4
1962年の作品。
テナーサックス奏者、チャーリー・ラウズをフロントに据えてカルテットで臨んだ作品です。
チャーリー・ラウズは1970年代までセロニアス・モンクのバンドで活動した名サックス奏者でセロニアス・モンクとの相性もバッチリです。
1曲目のアルバムタイトルにもなっている『モンクス・ドリーム』がおすすめ。
2曲目のセロニアス・モンクのソロで聴かせる名曲『ボディ・アンド・ソウル』もシブい演奏です!
セロニアス・モンクのおすすめ名盤④
モンクス・ミュージック+2
1957年の録音。
4管+リズムセクションの大所帯で臨んだ作品。
メンバーもテナーサックス、コールマン・ホーキンスとジョンコルトレーン、ドラム、アート・ブレイキーと豪華!
ほとんどがセロニアス・モンクのオリジナル曲です。
コールマン・ホーキンスをフロントに据えた『ルビー・マイ・ディア』がおすすめ。
2曲目の『ウェル、ユー・ニードント』では、ジョン・コルトレーンのソロ直前で、セロニアス・モンクが「コルトレーン!コルトレーン!」と叫んでますね(^^;)
セロニアス・モンクのおすすめ名盤⑤
ブリリアント・コーナーズ
1957年録音。
当時、人気ナンバーワンのサックス奏者ソニーロリンズをフロントに据えてのカルテットで臨んだ作品。
このアルバムもセロニアス・モンクのオリジナル曲が中心になってます。
ジャズ界の伝説的パトロン、ニカ男爵夫人にささげた曲『パノニカ』がおすすめです。
まとめ
私はジャズスタンダード曲推しですが、セロニアス・モンクの場合はその独特の世界観を堪能するにはオリジナル曲をおすすめしたいです!
以上、
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