十二国記シリーズの短編集です。
全5編で各国の王たちの理想を描くストーリーになってます。
本編の補完になるエピソードもあるので十二国記シリーズを読み進めている方には読んで損はないと思います。
あらすじ(内容紹介)
王は夢を叶えてくれると信じた。だが。 才国(さいこく)の宝重である華胥華朶(かしょかだ)を枕辺に眠れば、理想の国を夢に見せてくれるという。しかし、采麟(さいりん)が病に伏すいま、麒麟が斃(たお)れることは国の終焉を意味する国の命運は──「華胥」。雪深い戴国(たいこく)の王が、麒麟の泰麒(たいき)を旅立たせ、見せた世界は──「冬栄」。そして、景王(けいおう)陽子(ようこ)が親友楽俊(らくしゅん)への手紙に認(したた)めた希(ねが)いとは──「書簡」。王たちの理想と葛藤を描く全5編。
(Amazonより引用)
全5編の短編からなる本書。
才国の命運を描く「華胥」のみ新たな登場人物で物語を織り成します。
王が道を外れると麒麟が病に倒れ、王朝が滅ぶ・・・。
これは十二国記シリーズでのお約束的な設定です。
今までのストーリーではどちらかいうと王が乱心して「これは仕方がない」と思わせる理由でこのお約束がなされていたのですが、今回の「華胥」のエピソードではこの設定の奥の深さを感じました。
「華胥」意外は本編を読了している方ならお馴染みのキャラクターが登場し、また本編のストーリーの補完的なエピソードもあるのですっと物語に入っていけると思います。
十二国記シリーズの中でも最重要人物である陽子と泰麒の短編集もあります。本編では過酷な試練を強いられる二人ですがこちらの短編集は肩肘張らずにほっこり読める内容になってます。
順番としては一度、本編を読み終えてからの方が私見では良いと思います。
十二国記シリーズの本編を読み終えた方は是非(^^)
まだの人は本編の記事も本ブログにございますので参考にしていただければ幸いです。
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※ここから先はネタバレを含みます。
ネタバレ読書感想・あらすじ
冬栄
戴国のお話。
本編の『黄昏の岸 暁の天』を既に読了の方はご存知だとは思いますが、戴国は王も麒麟も行方不明という大変な事態に陥るのですが、こちらの短編集はその直前のエピソードになります。
まだ子どもの泰麒を中心としたほほえましいストーリーです。
この後にあんな悲惨な出来事が待っているなんて・・・。
また廉国が紹介されるのは本編を通じて初めてですね。
廉麟は何度か登場してますが・・・。
本編で廉麟は廉王のことを「わたしがいないと何もできない方」といってましたが、廉王はどんな方のなのかが本エピソードでわかります。
乗月
こちらのエピソードは本編『風の万里 黎明の空 上・下巻』と『図南の翼』が関わりが深いです。
『風の万里 黎明の空 上・下巻』では芳国の王である峯王が討たれました。あまりにも法が厳しくちょっとしたことで多くの人が死刑になってしまい、国を揺るがすほどの事態になり、月渓という男を中心に謀反を起こしたのです。
峯王の娘である祥瓊は命は助けてもらったものの公主の位ははく奪され、酷い暮らしを余儀なくされます。
そしてその過程で恭国の下女として働いていた際、王の持ち物を盗んで逃走してしまいます・・・。
「乗月」はこのエピソードに対し、終止符を打つ物語になってます。
一つ言えることは恭王はまた一つ株を上げたなって感じです。
書簡
陽子と楽俊の手紙の内容が主なるエピソードとなります。
楽俊は本編に幾度も登場している主要人物(半人半獣)ですが、楽俊の近況と十二国記シリーズでいう大学が「どのような場所か」ということがわかります。
華胥
才国の終焉を描いた物語。
理想を追求するあまり、空回りしてしまい采麟(さいりん)が病に倒れてしまいます。
間がさして悪行を重ねた末なら致し方なしって感じで自身も自覚があるとは思うのですが・・・。
一応は国のためにと思って頑張ったわけなのでなんだか切ない結末ですが(^^;)
「最初の王朝」を築くのが王の最初の試練と言われる通り、なかなか難しいのでしょうね~。
帰山
500年、600年と長きに亘り王朝を築いてきた雁国と奏国の王たちの語り合いですね。
それ以外の国の近況も把握できる内容になっているので十二国記シリーズの理解度が深まるエピソードです。
後は「華胥」の件でも言及しましたが王朝を築くのは難しい・・・。
500年、600年と続いた大国の王たちが言うのですから説得力があります(^^;)
まとめ
十二国記シリーズにはもう一冊、短編集があり、いずれ記事にいたしますが・・・。
どちらかというと本書『華胥の幽夢』を読んでいただきたいですね。
もう1冊の方は登場人物も本編とあまりかぶらないので愛着が(^^;)
短編集も良いですが早く新作を読みたい今日この頃です。
以上、「十二国記【華胥の幽夢】小説版の読書感想・あらすじ」でした。
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